塾屋の授業技術(高校数学メイン)

塾で20年以上働いた塾屋が、高校数学メインにつぶやきます。

No.003 教科書・テキストの例題をそのまま扱う授業技術(プリント不使用)

皆さん、こんにちは。塾屋です。

今回は、教科書orテキストの例題をそのまま扱う授業技術についてです。例題をすべて書き込みプリントにして配っている教師は私の周りにも多く、話を聞くといろいろな理由が返ってきます。その中の大きなものとしては

「例題をそのまま扱うと、教科書をカンニングされてしまい、授業がグダる」

というものがあります。この事態は、授業技術の向上により改善できます。

<技術1:問題の要約を板書し、その要約をもとに解説する>
例えば、「男子3人と女子4人が一列に並ぶ。・・・」という例題を説明するときは、まずは「B1 B2 B3 G1 G2 G3 G4」と板書します(もちろん、人は区別することは口頭で話します)。そして、その後の説明で問題の設定を確認するときには、板書を指して確認します。こういうことを繰り返すと、生徒は問題文を要約したものをもとに考える習慣がつきますし、例題の説明中に何度も教科書に視線を落とすことがなくなります。塾屋の授業進行で多いのは、(1)よりも(2)、(3)、(4)はどんどん説明を端折っていき、(4)はヒントだけ言ってから「続きは自分でやってごらん。」と生徒に投げて、黒板には「解けたら教科書を見て丸つけをし、できたら○○をやる」と書きます。単純なことなんですが、効果は高いので是非お試しあれ。

<技術2:例題の問題はそのまま使うが、解説には工夫を凝らす>
例題の解説を、教科書通りに写していたらグダるのは当たり前です。無駄なプリントを作成しない分、解説には最大限の工夫をしましょう。問題を理解するための実験を一緒に行う、別解を盛り込む、そもそも教科書の解説が気に食わない場合は別の解法を推すなどです。そもそも、教科書をそのまま読んでわかるなら苦労はないわけですから。それにプラスアルファをしていくことが教師の力の見せ所です。

<技術3:適当に改題する・追加する>
例題を教えただけでは、その後の演習には不足が発生することがままあります。また、例題の数字が適当でない場合もあります(これについては次回の記事で書きます)。そういったときには、適当に改題・追加しましょう。これを頻繁にやっていると、カンニングする生徒は減っていきます。

例題をすべて書き込みプリントにしていると、いつまでたっても授業準備に手間がかかりますし、しかもプリントのリニューアルをやめると、授業内容が固定されて進歩がなくなります。ぜひ例題をそのまま扱う授業技術を身につけましょう!