塾屋の授業技術(高校数学メイン)

塾で20年以上働いた塾屋が、高校数学メインにつぶやきます。

No.006 定数と変数の区別 定点通過について

皆さん、こんにちは。塾屋です。

今回は「定数と変数の区別 定点通過について」です。定数と変数の意識は、難関大を攻略するときに大きな問題として立ちはだかってきます。

例えば「直線(2a-3)x+(a-2)y-4a+6=0は、aの値に関係なく定点を通る。その定点の座標を求めよ。」という問題があります。この問題は、かなりできる生徒でも「やり方はわかってはいるが、理屈はよくわかっていない」状態が関の山です。この問題の本質的な難しさ、理解しにくさはどこにあるかというと、「定数と変数の逆転現象」です。つまり、直線の方程式にとってはxとyが変数で、aが定数です。ところが

(2x+y-4)a+(-3x-2y+6)=0 ・・・①

ではaの恒等式と見ており、xとyは定数に、aは変数に変わります。誤解を恐れず言えば、①の式は直線の方程式としては見ていない、ということなんです。これをきっちりと伝えるには、「求める定点を(X,Y)とする」としてちゃんと定点の座標を大文字で表して定数であることを伝えるのがいいでしょう。そうすると、①の式は

(2X+Y-4)a+(-3X-2Y+6)=0 ・・・②

となり、①に比べてXとYが定数であることが意識しやすくなりますね。

高校数学と言えども、このように本質的に難しい教科書の例題は存在します。このあたりをしっかり授業するには、同じ職場内での情報交換が不可欠だと思います。上に書いたようなことに、初年度の教師が気を配るのはほぼ不可能でしょうからね。

蛇足ですが、「直線 y=ax-a^2 がある。aがすべての実数を動くとき、この直線の通過しうる領域を図示せよ」も全く同じで、解答のイントロは「直線 y=ax-a^2 が点(X,Y)を通るとすると」からスタートするといいでしょう。